「口が開いている」は、癖では片づけられないかもしれません|OCAジャーナル通信 第2号
OCAジャーナル通信 第2号|ORAL × BODY
歯科医療者はもちろん、トレーナー、ボイストレーナー、整体師、セラピストなど、人の身体と機能に関わるすべての方へ。第2号のテーマは、「口が開いている」というサインです。
こんな場面に、出会ったことはありませんか?
電車でスマホを見ている人。トレーニングの合間。施術ベッドの上。診療チェアの上。ふと見ると、口が少し開いている。

「口を閉じてくださいね」と声をかけても、しばらくするとまた開いている――。
何もしていないのに口が開いている、いわゆる「ポカン口」。
歯科に限らず、身体に関わる現場であれば、どこでも出会うサインです。
「閉じない」のではなく、「閉じにくい」のかもしれない
代表理事・森昭は、ポカン口を単なる癖や「呼吸の問題」としてではなく、口が「閉じにくい」状態として捉えています。だとすれば、「閉じなさい」という声かけだけでは変わりにくいのも、自然なことです。
口が開くと、舌の居場所も変わります。唇は見た目のパーツである前に、口の「入口」。口が開いたままの状態が続くことは、舌・唇・頬の使われ方そのものに関わっています。
鼻・口・舌を、ひとつのシステムとして見る

口が開く背景は、ひとつではありません。
鼻づまりやアレルギー性鼻炎など、鼻の問題
舌の位置
唇や頬の動きやすさ
歯並びや顎の形
姿勢(前かがみの姿勢は「空気の通り道」にも影響しうる)
森は「鼻・口・舌を別々に見るのではなく、一つのシステムとして観察したい」と書いています。口を無理に閉じさせるのではなく、口が本来の働きをしやすい環境を整える。これがオーラルコンディショニングの考え方です。鼻の問題が疑われる場合は、耳鼻咽喉科との連携も選択肢になります。
「口を閉じる筋トレ」だけで十分か
口を閉じようとして、顎先に梅干しのようなしわが出る人がいます。これは、唇を閉じるために本来とは違う筋肉ががんばっているサインかもしれません。鍛えるだけでなく、頬や唇まわりをやさしくゆるめ、動きやすくすることも大切だと、森は考えています。
それぞれの立場で、気づく
歯科医師・歯科衛生士なら――主訴とは別に、口唇の閉じ方・舌の安静位・口呼吸の有無を、カルテに一行残してみてください。
スポーツ指導者・トレーナーなら――運動中だけでなく、休憩中やストレッチ中に口が開いていないか。呼吸が口に偏っていないかを見てみてください。
ボイストレーナーなら――発声練習の「前」と「後」で、口元の状態がどう変わるかを観察してみてください。
整体師・セラピスト・マッサージ師なら――仰向けの施術中に口が開いていないか。前かがみの姿勢のクセとセットで見ると、新しい発見があるかもしれません。
今日の10秒観察
相手がスマホや資料を見ている「無意識の時間」に、口元を見てみてください。
唇は閉じている? 開いている?
開いているとき、舌は見える?
顎先に力(梅干しじわ)が入っていない?
肩や首は前に出ていない?
鼻呼吸はしやすそう?
「直す」前に、「なぜ開いているのか」を一緒に考える。その視点が、専門職どうしをつなぐ入口になります。
次回(10/29配信予定)は、「肩こり・首こりの人は、なぜ顎も硬い?」。首・肩のこりと、噛む筋肉の関係を、整体師やトレーナーにも伝わる形でお届けします。
監修:森 昭(歯科医師/一般社団法人オーラルコンディショニング協会 代表理事)




